冷却塔のフリークーリング
フリークーリングは冷凍機を稼働させずに冷却水を供給するシステムで、主に外気温が低下する冬季に用いられます。
水冷式冷凍機で使用する冷却水は、冷却塔を稼働させて冷やすのが一般的です。しかし冷凍機の運転には大きなエネルギーが必要で、省エネルギーによるランニングコスト削減を目的としてフリークーリングを導入するケースがあります。
フリークーリングを導入すれば、冬季は低い外気温を使って冷却水を供給できます。夏季など気温が高い季節は冷凍機の稼働が必須ですが、年間で見るとエネルギーの使用量を抑えられます。
フリークーリングは、主に15~25度程度の冷却水を必要とするデータセンターなどの施設に適しています。周辺環境や地域によって向き不向きが分かれるものの、比較的温度の高い冷却水を多用する場合は検討の余地があります。
参照元:日本冷凍空調学会公式HP(https://www.jsrae.or.jp/annai/yougo/78.html)
フリークーリングの種類
直接式フリークーリング
直接式フリークーリングは、冷凍機を介さず直接冷却水を設備へと送るフリークーリングの方式です。シンプルな仕組みで、外気温を利用して冷やした冷却水をそのまま利用しているのがポイント。大きく分けると、開放形の直接式フリークーリングと、密閉形の直接式フリークーリングがあります。それぞれメリット・デメリットが異なるため、導入時は違いを把握することが大切です。
開放形の直接式フリークーリング
外気で冷やした冷却水を直接設備へと送るのが開放形の直接式フリークーリングです。冷却水と外気が直接触れ、使用を続けると汚れが蓄積していくため、フィルターやシステムの定期的な清掃・メンテナンスが求められます。
一方で、開放形の直接式フリークーリングはイニシャルコストを抑えられるというメリットがあります。
密閉形の直接式フリークーリング
コイルの内部を通る冷却水を外気と水で冷やし、直接設備へと送るのが密閉形の直接式フリークーリングです。開放形と比較してシステムが複雑なため、イニシャルコストが高くなる可能性があります。また、冷却塔内部の定期的な清掃が必要になります。
一方でフィルター清掃・交換が不要で、維持管理にかかる手間を削減できます。熱交換器による温度差を気にせずに済むため、フリークーリングの期間を長くできるのも強みです。
間接式フリークーリング
間接式フリークーリングは、プレートの熱交換器を用いるフリークーリングの方式です。直接式とは違い、外気の影響による冷却水の汚染を防げるメリットがあります。ただし、冷却塔や熱交換器の定期的な清掃・メンテナンスが求められます。
また、間接式フリークーリングは熱交換器を使用するため、冷却水と冷水の間で温度差が生じることが原因で、直接式よりも外気温の影響を受けやすく、冷却水と冷水の間で温度差が生じる場合があります。直接式よりフリークーリングの期間が短くなる点に注意が必要です。
フリークーリングの
重要性
フリークーリングは長期的に見ると導入したほうがよい設備の一つです。空調設備・産業設備に用いられる冷却水の製造には、電気などのエネルギーを使うため、冷凍機の稼働時間が長くなるとランニングコストも増加していきます。
フリークーリングを導入すれば、外気温が低い時期に冷凍機の運転を止めることが可能です。その分ランニングコストが削減されるほか、電気使用量減少によるCO2の削減も実現できます。また、施設の脱炭素化や企業のESG経営にも寄与します。



