冷却塔のエリミネーターとは
冷却塔において、水滴による周辺環境への影響を抑える役割を担っているのがエリミネーターです。冷却塔の内部に設置される装置の一つで、冷却の過程で生じる水滴を抑える働きを持っています。冷却塔の運転効率を高めるうえでは欠かせない装置です。
ここでは、冷却塔におけるエリミネーターの特徴や役割のほか、仕組み・構造を解説します。
エリミネーターとは
冷却塔のエリミネーターは、空気(主に排気)の流れで発生する水滴を取り除き、外部への飛散を抑制する役割を持った装置のことをいいます。飛散水を防止するためのもので、主に充填材と送風機(ファン)の間に装着されています。
エリミネーターの材質は、PVCやFRP、耐腐食性に優れた樹脂が多く、ジグザグとした波形をしたものが広く利用されています。冷却塔によって適切なエリミネーターが異なるため、設置する際はメーカーとしっかり相談して決めることが大切です。
エリミネーターの役割
エリミネーターの主な役割は、冷却塔の内部で発生する水滴の飛散を防ぐことにあります。気化熱の仕組みを利用して設備などを冷やす冷却塔は、冷却の過程で少なからず水滴が蒸発したり、周辺環境へ飛散したりします。その結果、冷却水や散布水は少しずつ失われていきます。
こうした水の蒸発・飛散による損失はキャリーオーバーと呼ばれていますが、水の損失が増えると水道代などのコストも膨らみます。そのため、キャリーオーバーを最小限に抑えることが求められます。
エリミネーターは、水の蒸発・飛散を抑止することでキャリーオーバーを防ぐ働きがあります。結果的に冷却水・散布水の節水に繋がるため、水道代の削減が期待できます。ランニングコストを抑えたい時は、エリミネーターが効果的な手段となるでしょう。
エリミネーターの
仕組み・構造
冷却塔のエリミネーターは、先に触れたようにジグザグの波のような形状をしています。ジグザグの波形構造なのは、空気の流れを効率的に制御し、水滴を波形の表面に付着させる仕組みだからです。構造の特性上、一見して充填材と間違えてしまいやすいですが、通常は充填部とファンの間に設置されています。
エリミネーターは、ファンで排気されようとしている空気中の水分を捉えて波形の表面に付着させます。そしてエリミネーターに付着した水分は冷却塔内に戻される一方、水分をほとんど含まない空気がファンで排出される仕組みになっています。このプロセスが繰り返されるため、エリミネーターの有無で冷却塔の節水能力が大きく変動します。
ただし、空気がエリミネーターを通り抜ける際には抵抗が発生して損失が生まれます。風量不足になる場合もありますので、エリミネーターを設置する際は冷却塔に合わせたものを選びましょう。



