冷却塔の基礎知識
冷却塔の価格
冷却塔の価格はメーカー・モデルによって大きく異なっています。例えば、数十万円で導入できる冷却塔がある一方、1,000万円を超える高額な冷却塔もあります。冷却塔の導入時には、本体や設置工事などのイニシャルコストが発生します。一方、設置後は部品交換やメンテナンス費用などのランニングコストがかかるので注意しましょう。
冷却塔の仕組み
冷却塔は、水が蒸発する時に周囲の熱を奪う気化熱の仕組みを利用した設備のことです。冷却水が外気に直接触れる開放式冷却塔と、配管によって隔たれている密閉式冷却塔があります。
冷却塔は主に水槽部や散水装置、熱交換器などによって構成されています。また本体の上部にはファンが設置されており、熱を持った外気を排出できるようになっています。
冷却塔とチラーの違い
冷却塔とチラーの主な違いは役割にあります。冷却塔は、空調などの設備を冷やすことに特化している一方、チラーは温度をコントロールする役割も担っています。
そのため、チラーは水温を維持したり温めたりする場合もあります。冷却塔とチラーは、用途によって向き・不向きが異なるため、適切な設備を取り入れることが大切です。
冷却塔の
エリミネーターとは
エリミネーターは、排気に含まれる水滴を捉え、周囲への飛散を防ぐための装置をいいます。主に鉄や樹脂でできており、波形の表面で水滴を付着させる仕組みになっています。
エリミネーターは、捉えた水分を水槽へと戻す役割も担っています。冷却水・散布水の損失を抑えられるため、ランニングコストの抑制に繋がります。
冷却塔のCTI認証
CTI認証は、アメリカの機関が認定している冷却塔の認証制度です。メーカーの公表定格通りに冷却塔が動作するかどうかを評価しています。日本であまり馴染みがない制度ですが、CTI認証済みの冷却塔は品質が担保されています。
性能面の信頼性も高いため、冷却塔を導入する際は、CTI認証の有無も考慮してみましょう。
冷却塔の
フリークーリング
フリークーリングは、冬季などの気温が低い時期に、外気温を利用して冷却水を冷やすシステムをいいます。冷却水の製造に冷凍機を使わないため、ランニングコストを抑えられるのがメリットです。15~25度程度の冷却水を利用する施設に適しています。
なお、フリークーリングは直接式と間接式がありますが、種類によってメリット・デメリットが異なります。
冷却塔のファン(送風機)
冷却塔のファンを適切に制御することで、安定した温度を維持することが可能になります。ファンの故障で多い原因やその対策までしっかりと把握しましょう。さらにファンを用いないエゼクタ式冷却塔も存在しますが、メリット・デメリットがあります。環境や用途に合わせて、ベストな方式を選んでみてください。
冷却塔の
騒音対策
冷却塔は、ファンの風切り音やモーターの異音、冷却水の落下音、振動による共鳴音など、複数の要因によって騒音が発生する装置です。特に住宅地や病院周辺では、周囲環境との調和のために静音化が求められます。
こうした騒音に対しては、設置場所の工夫や建物による遮音、防音パネルや消音マットの使用、防振架台の採用といった多角的な対策が効果的です。最近では、超低騒音型や消音装置付き冷却塔、シロッコファンを採用した静音設計モデルも登場しており、静穏性が求められる現場でも安心して導入できます。
高静圧型冷却塔
高静圧型冷却塔は、空気の通り道にかかる圧力損失に打ち勝てるパワフルなファンを搭載した冷却塔です。これにより、ダクトを長く延ばす必要がある屋内や地下など、従来は難しかった場所にも柔軟に設置できます。近年では、景観や騒音への配慮から、こうした冷却塔が注目されています。
最大300Paの機外静圧に対応可能な製品もあり、長距離ダクトやサイレンサーの接続もスムーズ。設置自由度が高まり、騒音対策や省エネ設計にも貢献します。ファン形式には静音性に優れたシロッコファンが採用されることも多く、音環境に敏感な場所にも適しています。



