冷却塔のFM認証
冷却塔のFM認証(FM Approvals)とは?
対象範囲と基本概念
冷却塔(クーリングタワー)を選定する際、「FM認証」という言葉を耳にすることが増えています。これは、単なる製品の品質保証ではなく、工場の火災リスクや事業継続性(BCP)に直結する、極めて重要な国際基準です。
FM認証(FM Approvals)とは、米国の企業向け損害保険会社「FM Global」グループの認証部門が発行する認証です。FM Globalは「ほとんどの損害は予防できる」という理念のもと、工学的な知見に基づき、施設のリスクを最小化することを目的としています。
冷却塔に関するFM認証規格が Class 4930 (Cooling Towers) です。この規格の最大の核心は、「自動スプリンクラー設備が無くても火災安全性を許容できる」冷却塔の条件を定めている点にあります。
FM認証は、火災リスクだけでなく、強風、積雪、地震といった自然災害への耐性、品質管理体制(工場監査)など、多角的な審査を経て付与されます。
FM認証(FM Approvals)の位置づけ
FM規格・適用部位・試験の考え方
規格(FM 4930)
Class 4930は、冷却塔が火災時にどのように振る舞うかを厳しく評価します。試験のハイライトは「実大火災試験」です。実際の冷却塔(またはその一部)を使って火災を発生させ、塔内部での燃え広がり方、構造的な損傷、運転機能が維持できるか、そして周囲への延焼危険性がないかなどを徹底的に検証します。
適用部位の考え方(重要)
FM認証を理解する上で最も重要な注意点は、「冷却塔の完成品(特定のモデル)」に対して承認が与えられるという原則です。
例えば、「FM認証の充填材(フィル)」だけを購入して既存の冷却塔に取り付けても、その冷却塔が「FM認証品」になるわけではありません。認証は、ケーシング、充填材、エリミネーター、ファンなどの各部材が組み合わさった「システム全体」としての防災性能を評価した結果だからです。個別の部品だけを入れ替えると、全体の火災時の挙動が変わり、認証は無効となってしまいます。
冷却塔でFM認証の対象になりやすい部材
FM 4930が注目するのは、冷却塔内で「燃える可能性のある」部材です。これらが火災時に延焼の経路とならないよう、厳しく評価されます。
FRPケーシング・充填材(フィル/スプラッシュ)・エリミネーター
- ケーシング(外板): 軽量で耐食性に優れるFRP(繊維強化プラスチック)は一般的ですが、樹脂であるため可燃性です。FM認証モデルでは、高い難燃性を持つFRPが使用されます。
- 充填材(フィル): 熱交換の心臓部であり、最も火災リスクが集中しやすい部位です。材質はPVC(塩化ビニル)やPP(ポリプロピレン)が主流ですが、これらも可燃物です。FM認証では、自己消火性を持つ難燃グレードの材料が求められます。
- エリミネーター(飛散防止装置): 充填材と同様に、PVCやPPが使われるため、難燃性が評価対象となります。
ファン/モーター/電装・配線・制御盤
冷却塔本体だけでなく、付属する電装品も火災源や延焼経路になり得ます。
- ファン: ブレードやファンデッキ(ファンの周囲)に樹脂が使われている場合、評価対象となります。
- 電装・配線: モーターへの配線ケーブルや制御盤内部の部材も、難燃性や低発煙性、ハロゲンフリー(有毒ガスを発生しにくい)仕様が求められることがあります。産業用制御盤における安全規格のUL 508Aや国際規格のIEC 61439などへの適合も、安全性を高める上で有効です。
接液部材・配管・防火ダンパー・付属消火設備
- 接液部材: 冷却水が触れる配管や部材(PVC, PP, FRPなど)も、耐薬品性だけでなく難燃性が求められます。
- 付属設備: FM認証を取得していない(非FM)冷却塔の場合、米国の防火基準 NFPA 214 などに基づき、自動スプリンクラーなどの消火設備の設置が基本的に要求されます。また、煙突などの近くに設置する場合は、火の粉の侵入を防ぐ金網の設置などが推奨されることもあります。
FM認証と国内法規・保険要件の関係
(消防法/建築基準/保険会社要件の概説)
ここで注意が必要なのは、FM認証と日本の法律との関係性です。
- 建築基準法: 例えば、高層ビルの屋上に冷却塔を設置する場合、防火構造や隣接建物との離隔距離について「建設省告示第3411号」などで定められています。FM認証の有無にかかわらず、日本の国内法規を遵守することが最優先です。
- 消防法: 「FM認証品 = 消防法適合品」ではありません。消防法で求められる消火設備や検定品とは別の概念です。ただし、FM認証品が持つ高い防火性能を根拠に、所轄の消防署と事前協議を行うことで、設置基準の合理化を図れる可能性はあります。
- 保険会社(FM Globalなど): もし自社工場がFM Globalと保険契約を結んでいる場合、保険の引受条件として「FM承認の冷却塔を使用すること」や「FMデータシート(DS 1-6など)に準拠すること」を要求されるケースがあります。この場合は、FM認証の取得が必須となります。
FM認証取得済み冷却塔を導入するメリット
(工場/データセンター/設計者視点)
FM認証冷却塔は初期コストが高くなる傾向がありますが、それを上回る多くのメリットを施設オーナーや設計者にもたらします。
火災リスク低減と延焼防止|材料の難燃性・自己消火性の担保
最大のメリットは、火災リスクの抜本的な低減です。実大火災試験で実証された難燃性・自己消火性の高い部材と設計により、万が一冷却塔で火災が発生しても、燃え広がりを最小限に抑えます。
特に多セル(複数の冷却塔ユニットが連結)の場合、火災が隣のセルへ燃え移る「延焼」を防ぐ設計がなされています。FM基準上、自動スプリンクラー設備の設置が不要と判断できるため、設備コストの削減と、スプリンクラーの誤作動や凍結による水損リスクも回避できます。
調達と承認がスムーズ|発注・稟議・保険査定での説明容易化
「なぜ高価な冷却塔が必要なのか?」を説明する際、FM認証は強力な武器になります。
「FM Approvalsという国際的な第三者機関が、厳格な実大火災試験を経て、スプリンクラー無しでも安全だと認めたモデルです」と説明できるため、客観的な根拠に基づいた社内稟議や経営層への説明が可能になります。また、FM Globalを含む保険会社との保険査定交渉においても、リスク低減努力の証拠として有利に働きます。
連続稼働環境での信頼性|データセンター/半導体の
BCP・停止時間最小化
24時間365日の連続稼働が求められるデータセンターや半導体工場にとって、設備の停止は莫大な損失に直結します。
FM認証冷却塔は、火災や自然災害(強風・地震)に対する高い耐性を持つため、不測の事態によるダウンタイム(停止時間)を最小化します。また、スプリンクラー設備が不要になることで、その誤作動や凍結による強制停止リスクも排除できます。
N+1や2Nといった冗長設計(予備機を設ける設計)とFM認証を組み合わせることで、事業継続計画(BCP)の信頼性を格段に高めることができます。
周辺環境配慮の両立|ドリフト低減・騒音/白煙対策・
水処理との整合
FM認証モデルは、防災性能だけでなく、環境性能にも優れた製品が多い傾向があります。
- ドリフト(水滴の飛散): ドリフト率0.001%といった高性能なエリミネーターが採用されることが多く、冷却水や水処理薬剤の飛散を最小限に抑えます。これは、周辺環境(近隣の建物や駐車場の車など)への影響を低減するだけでなく、水や薬剤の節約にもつながります。
- 騒音/白煙: 低騒音ファンやサイレンサー(消音器)、遮音壁の併用で騒音規制に対応します。また、冬場に目立つ白煙(プルーム)については、乾式と湿式を組み合わせたハイブリッド型冷却塔で対応可能です。
LCC最適化|部材寿命/交換性/メンテナンス頻度の予見性
初期コスト(イニシャルコスト)は高くても、ライフサイクルコスト(LCC)で考えると経済的合理性があります。
- 設備コスト削減: 最大の要因は、スプリンクラー設備の初期設置費用と将来のメンテナンス費用が不要になる点です。
- 長寿命化: ケーシングに耐食性の高いFRPや高耐久の金属材料を採用することで、腐食による劣化を抑え、冷却塔本体の長寿命化(更新コストの低減)が期待できます。
- 保守の予見性: 部材の耐久性が高いため、メンテナンス計画が立てやすくなります。
FM認証の冷却塔を紹介
日本ビー・エー・シーの開放式冷却塔「Series 3000」

https://bacj.co.jp/
| 型式 | XES3E-8518-05G~S3E-1222-14S |
|---|---|
| 冷却能力 | 264RT~1509RT・ 930kW~5,307kW |
| ファン容量 | 2kW~56kW |
| 外形寸法 | L2,580~3,600・W5,500~6,570・H3,000~6,650 |
| 温度条件 | 冷却水入口37℃ 出口32℃ 外気WB27℃ |
日本ビー・エー・シーの密閉式冷却塔「FXV」

https://bacj.co.jp/products/product02.html
| 冷却能力 | 180~1,940kW |
|---|---|
| 最大流量 | 5,560L/min |
| 温度条件 | 冷却水入口37℃ 出口32℃ 外気WB27℃ |
冷却塔のFM認証対応を比較するポイント
(素材・防火・飛散・保守)
FM認証対応モデルを選定する際は、認証取得の事実に加え、以下の具体的な仕様を比較検討することが重要です。
材料と構造の比較|難燃FRP vs 金属ケーシングの特性
ケーシングの材質は、設置環境とLCCに大きく影響します。
- 難燃FRP: 軽量で、特に塩害が懸念される沿岸部や、腐食性ガスが発生する環境での耐食性に絶大な強みを持ちます。成形自由度も高いのが特徴です。
- 金属(溶融亜鉛めっき鋼板、ステンレス鋼など): 機械的強度が高く、耐風・耐震設計の自由度が高いです。ただし、FRPに比べて重量があり、腐食対策(特にめっき鋼板)が重要になります。
いずれの材質でも、FM 4930の基準を満たす難燃性や構造強度が求められます。
充填材(フィル)の耐熱・耐薬品・難燃グレード
熱交換の核となる充填材は、材質の使い分けが重要です。
- PVC(塩化ビニル): 熱効率や加工性に優れ、一般的によく使われます。
- PP(ポリプロピレン): PVCよりも高温(例:80℃程度)や薬品環境に強い特性があります。
いずれもFM認証に対応した難燃グレードであること、UL規格やCTI(冷却塔技術協会)の材質試験のエビデンスを確認することが望ましいです。
エリミネーターのドリフト率(例:0.001%)と周辺影響(白煙/飛散)
前述の通り、ドリフト(飛散水)の少なさは重要な比較ポイントです。「ドリフト率0.001%以下」といった具体的な数値を仕様として明記している製品は、水・薬剤の損失を抑え、近隣への飛散リスクを最小限にしたい場合に適しています。白煙対策が必要な場合は、ハイブリッド方式の採用を検討します。
防火・延焼対策|火源想定、離隔・区画、散水停止時の安全性
FM認証冷却塔であっても、設置場所の配慮は必要です。
- 離隔・区画: 高層ビルの屋上設置では、建築基準法(告示3411)に基づき、建物の開口部や隣地境界線からの離隔距離が求められます。
- 火源の想定: 煙突や排気ダクトの近くなど、火の粉が飛んでくる可能性がある場所は避けるか、開口部に金網を設置するなどの対策が推奨されます。
- 非FM塔の場合: FM認証品でない場合、NFPA 214(米国の冷却塔防火基準)などに基づき、冷却塔内部や周辺へのスプリンクラー設置が原則となります。
電装・制御の安全性|モーター保護、ケーブル難燃、
盤の規格適合(UL/FM/IEC)
冷却塔本体の難燃性だけでなく、電装系の安全性も重要です。火災源とならないよう、以下の点を確認します。
- 制御盤: UL 508A(産業用制御盤)や IEC 61439(低圧配電盤)といった国際規格への適合。
- ケーブル: 難燃性(IEC 60332など)、低発煙性(IEC 61034など)、ハロゲンフリー(IEC 60754など)の基準を満たすケーブルを選定します。
メンテナンス性|点検アクセス、
洗浄・殺菌(レジオネラ対策)、部材交換性
安全性と並んで重要なのが、維持管理のしやすさです。
- 法令遵守: 建築物衛生法(ビル管法)に基づく定期点検(月1回など)や清掃(年1回など)が義務付けられています。
- レジオネラ対策: 各自治体(例:東京都の要領など)が定めるレジオネラ症防止対策(薬剤投与、定期清掃、水質検査)を確実に実施できることが必須です。
- アクセス性: 点検口が大きく、内部に入りやすいか、充填材やエリミネーターが清掃・交換しやすい構造かを確認します。
省エネ性とのトレードオフ|送風機方式(軸流/遠心)・
静圧・騒音・効率
冷却塔の省エネ性は、主に送風機(ファン)の方式と効率で決まります。
- 軸流(アキシャル)ファン: いわゆるプロペラファン。大風量を低動力で送風でき効率的ですが、高い圧力(静圧)が必要な用途には不向きです。屋外設置の大型冷却塔で一般的です。
- 遠心(シロッコ)ファン: 空気を吸い込んで遠心力で吐き出します。高い静圧を発生できるため、ダクトを接続して屋内設置する場合や、騒音対策で吸排気サイレンサーを取り付ける場合に有利です。
設置場所の制約(騒音、ダクトの要否)とエネルギー効率のバランス(トレードオフ)を見て、最適な方式を選定します。
設置条件別の留意点|屋内/屋上/沿岸部(塩害)と
FM要件の見落とし
- 屋上設置: 建築基準法(告示3411)の材料・離隔規制の遵守が必須。FM認証の耐風・耐震設計も重要になります。
- 屋内設置: 遠心ファンが有利な場合が多いですが、給排気のショートサーキット(排出した空気を再び吸い込む)防止策が不可欠です。
- 沿岸部(塩害): 金属ケーシングは腐食リスクが非常に高いため、FRP製やステンレス製(SUS316など)、重防食コーティング仕様など、耐食材の選定が冷却塔の寿命を決定づけます。

全国には多くの冷却塔メーカーがありますが、取り扱う冷却塔の種類や製品は異なります。メーカーによって強みや得意分野にも差があるため、各社の違いを把握することも重要。
本メディアでは、特徴の異なる3つの導入施設別におすすめの冷却塔メーカーをご紹介しています。
設計・発注での実務ポイント
(FM認証対応仕様書テンプレと記載例)
FM認証冷却塔を確実に調達するためには、要求仕様書に明確な記載が必要です。
仕様書に盛り込むべきFM関連要求事項
(対象部位/規格番号/試験成績書/ラベリング)
曖昧な「FM対応」という表現ではなく、具体的な規格と要求を明記します。
- 規格番号: 「冷却塔は FM Approvals Class 4930 に基づき FM Approved モデルであること。」
- 証明: 「FMのApproval Guide(認証品リスト)掲載ページの写し、または認証証明書を提出すること。」
- ラベリング: 「製品本体に FMラベル(銘板) が恒久的な方法で表示されていること。」
- 対象部位: 「ケーシング、充填材、エリミネーター、ファンデッキ等、主要な可燃となりうる部位がFM 4930の要求を満たすこと。」
- 環境・電装: 「ドリフト率は0.001%以下を保証すること。」「制御盤はUL 508AまたはIEC 61439に適合すること。」
(仕様書 記載例)
1. 冷却塔は、FM Approvals Class 4930 に基づく FM Approved モデルであること。
2. 見積提出時に、FM Approval Guide 掲載ページの写し、および認証証明書のコピーを提出すること。
3. 納入時、製品本体に恒久的に固定された FM Approved ラベル(銘板)の提示をもって検収対象とする。
4. ドリフト率は、循環水量に対し 0.001% 以下を保証し、メーカーの成績書を提出すること。
5. 制御盤は UL 508A または IEC 61439 に適合するものとし、使用ケーブルは IEC 60332(難燃)、IEC 60754(ハロゲンフリー)、IEC 61034(低発煙)の各要求事項に適合するものを使用すること。
6. 騒音値は、設備から 5m 地点において 〇〇 dB(A) 以下とし、達成に必要なサイレンサー等を含むこと。
消防協議・保険会社との整合プロセス
(提出書類・検収時確認項目)
- 所轄消防との事前協議: 最も重要です。設計の初期段階で、「FM認証品を採用することでスプリンクラーの設置を省略したい」といった計画を、FM認証の技術資料(実大火災試験データなど)と共に提示し、見解を確認します。
- 保険会社への確認: FM Globalなどの保険会社が関与する場合は、DS 1-6(冷却塔データシート)などの要求基準と、採用モデルが適合しているかを事前に確認します。
- 検収時の確認: 納入された製品が「仕様書通りのモデル名か」「FMラベルは貼付されているか」「各種成績書は揃っているか」を実地で確認します。
見積比較のチェックリスト(必須/任意/代替可の切り分け)
複数のメーカーから見積を取得する際は、条件を揃えて比較します。
- 必須要件:
- FM Approved (Class 4930) であること(認証書)
- 国内法規(建築基準法 告示 3411など)への適合
- 要求する材質(耐食性、難燃性)
- ドリフト率(例:0.001%以下)
- 電装・制御盤の規格(UL/IEC)
- 耐風・耐震設計基準
- 任意/選択要件:
- 白煙低減(ハイブリッド方式)
- 追加の騒音対策(サイレンサー、遮音壁)
- より上位の耐食材料(SUS316、FRP厚手仕様など)
- 代替案の比較:
- 「非FM認証品 + NFPA 214準拠のスプリンクラー設備」とした場合のトータルコストと比較検討。
用途別のFM認証スコープ最適化
すべての施設で最高仕様のFM認証品が必要とは限りません。用途のリスクに応じて、FM認証の範囲や周辺仕様を最適化します。
半導体工場|薬液環境・高負荷連続の前提と必要部材のFM範囲
半導体工場(ファブ)は、超高純度の製造環境と24時間稼働が求められます。
- 耐薬品性: 製造プロセスからの排気(薬液ミストなど)が冷却塔に影響を与える可能性があるため、充填材やケーシングにはPPやPVDF、高耐食FRPなど、標準以上の耐薬品性を持つ難燃材が求められます。
- 高負荷と飛散防止: 高負荷で連続運転されるため、ドリフト率0.001%クラスの高性能エリミネーターは、周辺への薬液飛散を防ぐためにも必須と言えます。
データセンター|N+1/2N冗長、白煙/騒音規制、
夜間工事の制約への適合
データセンターは、立地(都市部・郊外)とティアレベル(信頼性基準)に応じた仕様が求められます。
- 冗長性と信頼性: N+1や2Nの冗長構成とFM認証を組み合わせることで、万が一の故障や火災時にもサービス停止リスクを最小化します。
- 環境規制: 都市部では白煙(ハイブリッド方式)や騒音(低騒音ファン、サイレンサー)への対策が必須仕様となることが多いです。
- 工期: サービス停止が許されないため、既存設備の更新は夜間や週末の短時間工事が求められることもあり、工期短縮が可能なユニット型や設計が重要になります。
一般工場の更新案件|短工期・屋内設置(高静圧型)・
既設流用との両B
既存設備の更新(リプレース)では、コストと制約条件のバランスが重要です。
- 屋内設置/ダクト接続: 設置場所が屋内の機械室で、ダクト接続が必要な場合は、高静圧を発生できる遠心(シロッコ)ファン型が適しています。
- コスト比較: FM認証品(スプリンクラー無し)と、非FM品+スプリンクラー新設のトータルコスト(工期、将来のメンテ費含む)を比較し、合理的な選択を行います。
- 既設流用: 既設の基礎や配管を流用する場合、重量や接続口の制約も考慮してモデルを選定します。
よくある誤解とFAQ|FM認証とCTI認証の違い・
適合範囲・改修可否
最後に、FM認証に関してよくある誤解や質問にお答えします。
CTI認証(熱性能保証)とFM認証(安全/防災)の違い
この2つは、目的が全く異なります。
- CTI認証 (Cooling Technology Institute): 冷却塔の「熱性能」を保証する認証です。「カタログ通りの冷却能力(熱交換性能)が出ていますよ」ということを第三者機関(CTI)が保証します。
- FM認証 (FM Approvals): 冷却塔の「防災・安全性能」を評価する認証です。「火災や自然災害に対して安全で、スプリンクラーが無くてもリスクが低いですよ」ということをFMが保証します。
車に例えれば、「燃費(CTI)」と「衝突安全性(FM)」のように、評価する側面が全く別です。
海外FM認定=国内消防適合ではない|適合確認のステップ
非常に重要な点です。FM認証は米国の保険会社基準であり、日本の消防法や建築基準法を自動的にクリアするものではありません。
「FM認証品だから日本の法律は関係ない」ということは絶対にあり得ません。
必ず、設計の初期段階で、FM認証品の採用計画(技術資料、スプリンクラー省略の考え方など)を所轄の消防署に持参し、事前協議を行う必要があります。このステップを怠ると、工事着工後や完成検査時に法規不適合と判断され、重大な手戻り(最悪の場合、スプリンクラーの追加設置)が発生するリスクがあります。
既設冷却塔の改修でFM相当化は可能か?部材置換と限界
「今ある冷却塔の充填材(フィル)だけを、FM認証モデルで使われている難燃品に交換すれば、FM相当の安全性になるか?」という質問も多いですが、答えは「No(不可)」です。
前述の通り、FM認証は「完成品(モデル)単位」で与えられます。充填材だけを交換しても、ケーシングや他の部材との組み合わせで火災時にどう燃え広がるかは未検証です。
むしろ、メーカーの許可なく部材を交換した場合、元の冷却塔が持っていた(もしあれば)FM認証自体が失効するリスクさえあります。
既設の冷却塔で防災性能を高めたい場合は、部品交換で「FM相当」を狙うのではなく、NFPA 214などの基準に基づきスプリンクラー設備を追加するか、FMデータシートが推奨する離隔距離の確保や防火壁の設置といった対策を検討するのが現実的です。
まとめ(キーポイント)
冷却塔のFM認証(FM Approvals)は、施設のリスク管理と事業継続性(BCP)の観点から、非常に強力な選択肢となります。最後に、重要なポイントを整理します。
1. FM 4930は「スプリンクラー不要」の防災規格: FM認証の最大の意義は、実大火災試験に基づき、自動スプリンクラー設備がなくても許容できる高い防火安全性を証明することにあります。
2. 承認は「完成品(モデル)単位」: 充填材などの「部品交換」だけではFM認証にはなりません。システム全体での承認が必要です。
3. 国内法規との「事前整合」が必須: FM認証 = 消防法適合ではありません。必ず所轄消防と事前協議を行ってください。
4. 選定の肝は仕様の明確化: 「難燃材料」「ドリフト率(0.001%級)」「電装のUL/IEC適合」「環境対策(騒音・白煙)」「耐食性」など、具体的な要求仕様を比較検討することが重要です。
5. LCCとBCPで判断: 初期コストは高くても、スプリンクラーの設置・維持コストの削減(LCC最適化)や、データセンター・半導体工場などでの停止リスク低減(BCP)という価値を総合的に評価して判断することが求められます。



