冷却塔のスケールとは

冷却塔の運転を続けるなかで、配管や充填材・熱交換器の表面に白い固形物が堆積することがあります。これがスケールと呼ばれる現象です。スケールは冷却性能の低下やエネルギーコストの増大を招くだけでなく、放置すれば設備の腐食・破損にもつながる深刻なトラブルの原因となります。

ここでは、冷却塔におけるスケールの発生メカニズムや種類、影響と対策について詳しく解説します。

スケールとは

冷却塔のスケールとは冷却水中に溶け込んでいるミネラル分(炭酸カルシウム・硫酸カルシウム・シリカなど)が析出・固化し、配管や充填材・コイルの表面に堆積した固形物のことをいいます。

  • 開放式冷却塔の場合:冷却水自体が外気と触れて蒸発するため、水中のミネラル濃度が上昇(濃縮)し、溶解限界を超えた成分が結晶化して配管や充填材に付着します。
  • 密閉式冷却塔の場合:内部を流れる冷却水は密閉されているためスケールは発生しにくいですが、熱交換コイルの外側から撒く「散布水」が蒸発・濃縮することで、コイル外表面に強固なスケールが形成される点が特徴です。

スケールは熱伝導率が非常に低いため、薄い膜であっても熱交換効率を著しく低下させる点が問題となります。

スケールの種類

冷却塔で発生するスケールは、その成分によっていくつかの種類に分類されます。それぞれ性状や対処法が異なるため、種類を正しく把握することが適切な管理につながります。

炭酸カルシウムスケール

最も一般的なスケールで、水中のカルシウムイオンと炭酸イオンが結合して析出します。白色または灰白色の硬い固形物で、水温の上昇・pHの上昇・CO₂の放出によって析出が促進されます。冷却塔の熱交換部や充填材に堆積しやすく、冷却効率の低下をもたらします。

シリカスケール

水中のシリカ(二酸化ケイ素)が濃縮・析出したスケールです。炭酸カルシウムスケールと比較し非常に硬く、除去が困難であることが特徴です。一度付着すると通常の酸洗浄では溶解しにくいため、シリカ濃度の管理と専用の薬品処理が重要になります。

硫酸カルシウムスケール

カルシウムイオンと硫酸イオンが結合して析出するスケールです。水温が高い環境ほど析出しやすい逆溶解性を示すため、熱交換器や高温部位への付着に注意が必要です。

複合スケール

実際の冷却水系では、上記の成分が複合的に混在したスケールが生成されることが多くあります。また汚泥・バイオフィルムとスケール成分が絡み合って複合的な堆積物を形成するケースも見られます。この場合、単一の対策では除去が難しく、総合的な水処理管理が求められます。

スケールが冷却塔に与える影響

スケールの堆積は、冷却塔の性能や設備寿命にさまざまな悪影響をもたらします。主な影響は以下のとおりです。

  • 熱交換効率の低下:スケールの熱伝導率は金属の数十分の一以下であるため、わずか1mm程度の堆積でも熱交換効率が数〜十数%低下することがあります。
  • エネルギーコストの増大:冷却効率が低下すると、所定の冷却水温度を維持するために冷凍機やポンプの運転負荷が増加し、電力消費量が増大します。
  • 配管の閉塞・流量低下:スケールが配管内壁に堆積することで流路が狭まり、冷却水の流量が低下します。ひどい場合は配管の完全閉塞を招くこともあります。
  • 腐食の促進:スケールの下に腐食性環境が形成される「スケール下腐食(垢下腐食)」が起こりやすく、配管や熱交換器の早期劣化につながります。
  • 充填材・エリミネーターの目詰まり:充填材の表面にスケールが付着すると通気・通水抵抗が増加し、冷却塔全体の性能が著しく低下します。

スケール発生に影響する主な要因

スケールの発生しやすさは、冷却水の水質や運転条件によって大きく異なります。以下の要因を把握しておくことが、効果的な予防につながります。

要因 内容 スケールへの影響
濃縮管理(濃縮倍数) 蒸発によりミネラル分が濃縮される度合い 濃縮倍数が高いほどスケールが発生しやすい
pH 冷却水のpH値 pH上昇で炭酸カルシウムが析出しやすくなる
水温 冷却水・外気の温度 高温ほど炭酸ガスが逃げてpHが上昇し析出促進
ハードネス(硬度) 水中のカルシウム・マグネシウム濃度 硬度が高い補給水ほどスケールが堆積しやすい
シリカ濃度 水中の溶解シリカ量 一定濃度を超えると硬質シリカスケールが析出

スケールの予防・対策

スケールを防ぐためには水質管理・薬品処理・定期的なメンテナンスを組み合わせた総合的なアプローチが必要です。以下に代表的な対策を紹介します。

ブロー(排水)管理

冷却水の濃縮を抑えるために、定期的に濃縮した冷却水を排水し(ブロー)、新鮮な補給水と入れ替える操作です。濃縮倍数を適切な範囲(一般的に2〜4倍程度)に維持することで、スケール成分の析出を抑制します。ただし、過度なブローは水道料金や下水道料金の増大を招くため、節水とのバランスが重要です。

スケール防止剤の添加

水処理薬品(スケールインヒビター)を冷却水や散布水に添加することで、ミネラル分の結晶成長を抑制し、スケールの付着を防ぎます。代表的な薬品にはポリリン酸塩・ホスホン酸系薬品・アクリル系ポリマーなどがあります。補給水の水質や濃縮倍数に合わせた薬品の選定と添加量管理が重要です。

pH調整

硫酸などのpH調整剤を用いて冷却水のpHを適切な範囲(一般的にpH6.5〜8.0程度)に維持することで、炭酸カルシウムの析出を抑制します。ただし、pH低下は腐食促進リスクを伴うため、防食剤との併用が一般的です。

物理的洗浄・化学洗浄

すでに付着したスケールを除去する手段として、以下の方法があります。

  • 高圧水洗浄:高圧ジェット水で機械的にスケールを剥離・除去する方法。比較的軟らかいスケールに有効。
  • 酸洗浄(ケミカルクリーニング):塩酸・硫酸・有機酸などの薬品でスケールを溶解・除去する方法。炭酸カルシウムスケールに特に効果的。ただし、酸洗浄は冷却塔の部材(メッキ鋼板や銅管など)を激しく腐食させるリスクがあるため、自己判断での実施は厳禁です。必ず専門業者へ依頼してください。
  • 専用スケール除去剤:シリカスケールなど難溶性のスケールには、専用薬品や研磨洗浄を組み合わせた方法が用いられる。

スケール管理のポイント

冷却塔のスケールを効果的に管理するには、定期的な水質測定と記録の継続が基本となります。以下の項目を定期的にモニタリングし、異常の早期発見に努めることが重要です。

  • 電気伝導度(EC):冷却水の濃縮度を簡便に把握できる指標。濃縮倍数の管理に活用する。
  • pH・Mアルカリ度:炭酸カルシウム析出リスクの評価に用いる。
  • カルシウム硬度・シリカ濃度:スケールの主成分濃度を直接把握する。
  • ランゲリア指数(LI):冷却水の炭酸カルシウムに対するスケール傾向・腐食傾向を定量的に評価できる指標。LI>0でスケール傾向、LI<0で腐食傾向を示す。

スケール管理の具体的な基準値や水処理薬品の選定は、補給水の水質・設備の材質・運転条件によって異なります。水処理専門業者やメーカーと連携しながら、設備ごとに最適な管理基準を設定することを推奨します。

導入施設別 おすすめの メーカー 3

データセンターやオフィスビル・商業施設、発電所など、さまざまな施設で利用されている冷却塔。以下ではおすすめの冷却塔メーカーをご紹介します。各社得意とする施設は異なりますので、自社に合ったメーカー選びにお役立てください。

データセンターや
半導体工場への導入なら
日本ビー・エー・シー
日本ビー・エー・シー
引用元:日本ビー・エー・シー公式HP
(https://bacj.co.jp/)
おすすめ理由

常時熱負荷が高い施設を
効率的に冷却

設計仕様どおりの性能を保証する「CTI認証」取得製品をラインナップ。
想定どおりの運転が保証された品質安定性で、データセンターや半導体工場などの温度管理が厳しい現場での温度管理の安定化を実現します。
その効率的かつ安定した冷却システムにより、196ヶ国への導入実績(2024年11月15日調査時点) を誇ります。

※参照元:日本ビー・エー・シー公式HP
(https://bacj.co.jp/)
オフィスビルや
商業施設
への導入なら
荏原冷熱システム
荏原冷熱システム
引用元:荏原冷熱システム公式HP
(https://www.ers.ebara.com/)
おすすめ理由

周辺環境に配慮した、
静音・低振動の冷却塔を提供

国内を中心に「梅田阪急ビル」「横浜赤レンガ倉庫」などの商業施設や、住宅地に隣接する施設にも多数導入されています。
冷却塔は静音設計や低振動の遠心ファンを採用し、周辺環境に配慮した施設運営を実現。
ユニット搬入型の製品も取り扱っており、限られたスペースへの設置や短期間での導入が求められる施設にも対応しています。

※参照元:荏原冷熱システム公式HP
(https://www.ers.ebara.com/cases/)
発電所や
製鉄所への導入なら
新日本レイキ
新日本レイキ
引用元:新日本レイキ公式HP
(https://www.reiki-ct.co.jp/service/)
おすすめ理由

塩害や高温高湿などの
過酷な環境下に対応

耐腐食性に優れたFRPや耐食鋼材を採用し、高温・高湿環境に求められる耐久性を備えます。
環境や用途にあわせ現地組立型の冷却塔を提供するほか、タービン冷却や製鉄プロセスの温度管理など、大規模施設ならではの冷却ニーズに対応。
国内の発電所や製鉄所などへ大型冷却塔を導入した実績は2,150基以上(2025年1月24日調査時点)にもなります。

※参照元:新日本レイキ公式HP
(https://www.reiki-ct.co.jp/works/)
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