病院・医療施設向け冷却塔の選び方
医療施設における冷却塔の役割
病院や診療所などの医療施設では、空調設備で発生した熱を外気へ放出するために、冷却塔が使われています。24時間稼働する施設も多く、冷却塔を含む空調設備の安定した運用が重要です。
一方で、医療施設は衛生面への配慮が特に求められる施設でもあります。ここでは、病院・医療施設で冷却塔を運用する際に押さえておきたい維持管理のポイントを、導入・更新時の機種選定とあわせて解説します。
病院・医療施設で冷却塔の維持管理が重要になる理由
冷却塔内部は、日射や酸素の供給、大気に開放された構造などにより、微生物や藻類が繁殖しやすい環境です。また、冷却水中の成分が濃縮して生じるスケールや、微生物などによるスライムが形成されると、レジオネラ属菌が繁殖しやすくなるおそれがあります。
冷却塔から排出されるエアロゾル(水滴の微粒子)にレジオネラ属菌が含まれている場合、それを吸入することで感染する可能性があります。厚生労働省の「レジオネラ症を予防するために必要な措置に関する技術上の指針」では、高齢者や新生児、免疫機能が低下した方が多く利用する医療施設などについて、冷却塔を含む設備の衛生上の措置を徹底する必要があるとしています。
患者や職員の安全を守るためにも、冷却塔の点検・清掃や冷却水の適切な管理、エアロゾルの飛散を抑える対策を継続することが大切です。
(https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00003510&dataType=0&pageNo=1)
維持管理で押さえるべき4つのポイント
病院・医療施設で冷却塔を管理する際は、以下の4つの観点を軸に、衛生管理と保守点検の体制を整えましょう。
- 定期的な点検・清掃の実施
- 冷却水の水処理と適切な水質管理
- エアロゾルの飛散を抑える設置計画
- 点検・清掃しやすい機種の選定
定期的な点検・清掃の実施
厚生労働省の指針では、冷却塔の使用開始時および使用期間中は、1か月に1回以上、冷却塔と冷却水の汚れの状況を点検することが示されています。点検結果に応じて清掃や換水などを実施するとともに、1年に1回以上は清掃と完全換水を行うことが必要です。
また、必要に応じて殺菌剤などを冷却水に加え、微生物や藻類の繁殖を抑制します。点検・清掃の実施日や結果、対応内容を記録し、計画的な維持管理につなげましょう。
冷却水の水処理と適切な水質管理
冷却塔に供給する水は、水道法に基づく水質基準に適合するよう必要な措置を講じることが、厚生労働省の指針で示されています。また、冷却水の状態に応じて殺菌剤などを使用し、微生物や藻類の繁殖を抑制することも重要です。
冷却水の管理方法や検査の対象・頻度は、使用する水や設備の仕様、施設の管理計画などを踏まえて検討しましょう。具体的な水処理方法や管理基準については、冷却塔メーカーや水処理の専門業者に相談することも有効です。
エアロゾルの飛散を抑える設置計画
冷却塔から排出されるエアロゾルが建物内に侵入したり、人が活動する場所へ飛散したりすることを抑えるため、設置場所にも配慮が必要です。厚生労働省の指針では、風向きなどを考慮し、外気取入口や居室の窓、人が活動する場所から十分な距離を取ることなどが示されています。
新設や更新の際は、周辺の建物や人の動線、風向きなどを確認するとともに、エアロゾルの放散量が少ない構造の冷却塔を検討しましょう。設置条件によって適切な対策は異なるため、設計段階で専門業者に相談することも大切です。
点検・清掃しやすい機種の選定
冷却塔の衛生状態を維持するには、定期的な点検・清掃を継続できる設備を選ぶことも重要です。導入や更新の際は、点検口から内部へアクセスしやすいか、清掃や部品交換を行いやすい構造か、作業スペースを確保できるかなどを確認しましょう。
また、スケールやスライムの付着を抑えるための水処理方法、保守部品の供給体制、定期点検や修理への対応なども、維持管理の負担を考えるうえで確認しておきたいポイントです。製品ごとの構造や保守サービスの内容を比較し、自施設の運用条件に合った機種を選びましょう。
まとめ
病院・医療施設の冷却塔では、定期的な点検・清掃、冷却水の適切な管理、エアロゾルの飛散を抑える設置計画が重要です。厚生労働省の指針に沿った衛生管理を継続するとともに、点検・清掃を実施しやすい設備を選ぶことも、安定した運用につながります。
冷却塔の新設や更新を検討する際は、メンテナンス性に加え、部品交換や修理への対応、定期点検などのアフターサポート体制も確認しましょう。自施設の設置条件や維持管理体制を整理したうえで、冷却塔メーカーの製品・サービスを比較し、適切な設備を選定することが大切です。



